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南 博 HIROSHI MINAMIのブログ

森羅万象/禁煙日記

禁煙日記7

禁煙日記

医師に、禁煙以外にも身体に良いことをするのが、より禁煙を達成する早道だと言われたので、プールに行くことにした。普段は、朝の散歩が、かろうじて私の運動であったが、この季節、ドアを開けた瞬間、「あっ、今日は朝から暑すぎる」という天気が続いていたので、散歩さえ疎かにしていた。しかし、プールであれば汗をかかない。直射日光も浴びない。ただ入場料がかかる。寓居から幸いにして五分の所に市民プールがあり、一回二時間400円である。早速11回4000円のプリペアードカードを買う。強制的に買えば毎日行かざるをえまい。だいたい例の煙に一日460円を浪費していたのである。

私は朝七時前には目覚めてしまう。早朝練習という手もあるが、チャンピックスのせいか瞳孔がひらいたまま、何も思考できない。メロディーも、練習のアイデアも早朝は無理そうだ。だが頭に浮かんでくるこれらの言葉をこのように書き記すことはできる。かといってこのまま文字をずっと書いているだけでは、晩年の萩原朔太郎のようになってしまう。あの人は天才詩人だが私はそうではない。また、朝起きて濃いコーヒー三杯に一服より、泳いだ方がよかろう。市民プールは九時からだ。

驚いたことに、私がプールに一番乗りだった。「誰もいないプール」、なにやら芥川賞候補作品のタイトルみたいだと思っていたら、後ろから何人か早速泳ぎに入ってきた。朝九時から泳ぐという行為自体、私の身体にとって無謀なことだが、ええい、ままよと、準備体操もせず水に飛び込み、ムチャクチャに泳ぎはじめた。休憩せず30分、ムチャクチャに身体を動かした。心臓麻痺でくたばるならばここで死ねば良い。

水の中は異界だ。ゴボゴボという水の音と、自らが吐く息が水泡として視覚的に捉えられる。なんたる空気の、量の多さだ。肺とは凄い量の空気を吸い込めることが視覚で分かる。この中に煙が混ざっていたわけである。なんということだ。原体験という意味もあるかもしれない。母親の母体にいたときと状態は似ている筈だ。ここちよい。

(続く)

 

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